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\ event report / 講談まるまつ亭_2022年12月14日・15日
I.D.Worksスタッフの髙橋です。
心待ちにしていた講談まるまつ亭を満員御礼にて終演することができました。
遠くから近くから、お越しくださった皆さま誠にありがとうございました。
講談当日は底冷えする寒さに見舞われましたが、庭から差す光の様に微睡む昼下がり、日が暮れ宵が深まるとその雰囲気はがらりと変わり、会場の変化も記憶に残るものでした。
初日は講談師の神田京子さんと津軽三味線 山中信人さんが高座をつとめられました。
京子さんは渋沢栄一の「松」にまつわるお噺を披露くださったのですが、okizaにとって縁の深いテーマが嬉しく、この場で開く意味を感じました。
さまざまなことが発展し情報に溢れている今だからこそ、見えないものにも心を寄せる。
先人の方々から学びながら”未来に残す”視座をもって今を丁寧にすごしたいものです。
津軽三味線奏者の山中信人さんは、3本の弦から奏でられる繊細さと豪快さに圧倒されました。
北国の美しさと厳しさを思わせる音色のふくよかな厚み、民謡、童謡、ロックなどジャンルを軽々と飛び越える演奏に津軽三味線の概念が変わりました。
尺八の雅な音色も贅沢な時間で、高座を降りられる際の山中さんの深々とした一礼に全てが表れているようで感じ入るものがありました。
その熱冷めやらず迎えた最終日は、神田京子さんと神田茜さん、神田一門の姉妹弟子共演でした。
頭の中でお噺の風景が豊かに広がる語り口の神田茜さん。
チリと胸を焦がす記憶にも優しく手をあてがうような、そんな感覚に心がほどけました。
ユーモアを交えたお噺のなかでウルリと涙したり、ドキリとしたフレーズに出会われた方も多かったのではないでしょうか。
他愛ない日常のなかで起こる宝物のような悲喜交々、その心の機微を思いださせてくれました。
そして続く京子さんの高座は師走の風物詩となっている忠臣蔵のお噺です。
討ち入りを計画した赤穂浪士47人の決意と一部始終をお話しくださったのですが、固唾を呑むとはまさにこのこと。
張扇を合図に、ぴんと張った緊張を割いて真に迫る声。
会場にいらっしゃったすべての人がその世界、痺れる展開に深く引き寄せられていました。
お客さまの様子を感じ取りながらアドリブを利かせるお三方の噺の運び、初心者の方もファンの方も置いてけぼりにしない心配りもあたたかく、居心地のよいひとときでした。
会場にはこの日ならではのお茶や焼菓子が並び、コトの探求室がちょっとした社交場のようにもなっていました。
その場でいただくジャスミン茶の高貴な香りも会場をより柔らかいものにしてくださっていたように思います。
茶日月さん、食堂スタッフの皆さん、ありがとうございました。
そして献身くださった講談スタッフの皆さまに心から感謝いたします。
まるまつ亭は幕を閉じましたが、暮らしはこれからも続きます。
スタッフの方の言葉をお借りすると、この講談は“日常の延長線上”に開かれた出来事。
ハレとケのあいだの心地良さを知った2日間でした。ありがとうございました。
最後に。2日間にわたって、演者さんと講談スタッフを支えてくれた食事たち。
まるまつ食堂さん、ゴトウパンさん、元気みなぎるごはんが嬉しく励まされました。