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\ event report / 余暇のすすめ「美術解体新書」写真編_2022年7月2日

美術解体新書を講師を担当しています鈴木啓二朗です。
今回は写真編を開催しました。僕自身も楽しみにしていたもので、何をどのように見ているのかという参加者の方々の観察眼、解釈、創造性などが垣間みれるのでとても面白いです。


最初は私が以前「ことわざ」のイベント時に撮影した無人の敷地内の動画を上映しました。当時撮影した時というのは全く誰もいないので、生活音は特に聞こえず、聞こえたのは風の音や昆虫の鳴き声と、自分自身の呼吸の音だけでした。自分が今ここにいるという感覚が深く感じられました。そのような話から、人が住んでいるところには、普段は気にもとめないような生活音がたくさん存在していることをお伝えしました。空き家の静けさと人の暮らす生活の喧騒の対比を体験することによって実感する視線や感情はなかなか奥深いものです。


そして、写真やカメラの歴史などをカメラオブスキュラ、二眼レフフィルムカメラ、一眼レフデジタルカメラ、スマートフォンについてそれぞれの時代性や利便性を紹介し、撮影する被写体や活用方法などの移り変わりも意見交換することができました。また、写真と物語の関係性も紹介することができました。私の個人的な解釈の展開ではありましたが、写真(イメージ)は実は物語(小説など)を、物語(小説など)はイメージ(写真)を鑑賞者や読者の中に生成しているのではないか。。。



後半は、「人の営みや豊かな生活とは?」をテーマに、敷地内をそれぞれの感覚と感性で観察したり、撮影したりしました。さまざまな時代の建物や物品、自然や生き物、人工物などの混在する敷地内は、今ここで生活しているということ、喧騒の中に呼吸の音がかき消されていることが実感できます。各自がファインダーやスマートフォン越しにこの現在のイメージを切り抜くことを楽しまれ、最後は撮影したたくさんの写真の中から自分らしいテーマで5〜8枚程度で何らかの物語やアイデアが伝わるように写真選択をして、各自の視点、意図、感性を思い思いに比較考察することができました!

( 文:KEIJIRO SUZUKI